【リフォームに失敗しないために】水まわりのプロが解説!キッチンメーカーの選び方
「どのメーカーが自分に一番合っているのか分からない」
という方も、多いのではないでしょうか?
今回は水まわりのリフォームを手掛けて40年の弊社が、キッチンメーカーの選び方のコツをまとめました。
ぜひキッチン選びの参考にしてください。
目次
キッチン選びで大事なこと
\ キッチンメーカー主要6社解説 /
1. クリナップ
2. TOTO
3. LIXIL
4. パナソニック
5. タカラスタンダード
6. トクラス
総括
長ったらしいことはいいから、さっさとオススメメーカーを教えてくれ!
という方は下記の「最適なキッチンメーカー診断」をご活用ください。
- Q1
- キッチン選びで一番重視することは?
キッチン選びで大事なこと
優先順位を決める
キッチン選びで一番大事なのは、優先順位を決めておくこと。
デザイン最重視なのか、収納が多いキッチンがいいのか、
食洗機やレンジフードなどの機器類にこだわりたい など色々な要望があるかと思います。
予算に限りがなければ、「あれもこれも採用して理想のキッチンに」となりますが、
そんな方ばかりではないはず。
また、建物の形状や施工等の諸条件により、要望の実現が難しくなる可能性も。
限られた予算・条件の中で、取捨選択が必要となります。
予め何を最優先するのかを決めておきましょう。
メーカーの特色・得意分野を知る
各メーカーによって、推している性能や得意分野が異なります。
キッチンの扉色やデザインもメーカーによって異なるので、
どのメーカーを選択するかはキッチン選びで最も重要!
今回はこのメーカー選びについて、詳しく解説します。
実際に実物を見る
キッチンの高さや収納のサイズ感、食洗機やレンジフード、コンロの機能性など、
実際に目で見た方がイメージもつきやすいですよね。
扉や手すりの色などは、カタログ上で見るのと、
実物(サンプル)を見るのでは結構印象が違います。
ぜひ各メーカーのショールームに足を運び、実際のキッチンを体験してみてください。
キッチンメーカー主要6社解説
クリナップ
日本で初めてシステムキッチンを発売したメーカーです。
主なグレードは、普及価格帯「ラクエラ」、中~高価格帯「ステディア」、高級価格帯「セントロ」となります。
特徴・特色
ステンレスキャビネット
錆びにくく強度のある、高品質なステンレス素材を活かしたキッチンが特徴。
熱・臭い・水汚れ・サビに強いステンレスは、キッチンの素材として非常に優秀です。
日本の高温多湿な気候、カビが発生しやすい環境にも適しています。
※ 普及価格帯のラクエラは木製キャビネット、底板のみステンレスに変更可能
デュアルトップ対面
キッチンの作業面より一段高いカウンターは、手元を隠す絶妙な高さに設計。
お料理する手元やシンクをダイニングに座る人から隠してくれます。
対面キッチンの開放感はそのままに、ほどよく手元を隠せるクリナップ独⾃の対⾯キッチンです。
流レールシンク・とってもクリン排水口
料理中などに使用する水が、ゴミや汚れを手前の「流レール」に集めながら流れ、排水口に集まります。
また、ステンレス一体形成の排水口により、お掃除ラクラク!
さらに美コート(親水性のセラミック系特殊コーティング)で汚れをガードします。
※ 普及価格帯のラクエラでは選択不可
まとめ
- 日本の環境に適した頑丈なステンレス素材が売り
ほとんどのキッチンは木製キャビネットですが、湿気や水漏れなどでたわんだり、扉や引出しの動きで傷んでめくれてきたりと、経年劣化しやすい素材です。
その点、耐久性のあるステンレスであれば、経年劣化を抑えられます。
カビも発生しにくいため、普段お掃除が行き届かない箇所も清潔に使い続けることができます。
さらに、流レールシンク・とってもクリン排水口は、クリナップのステンレス加工技術を活かした清掃性を向上させる商品です。
汚れが目立たずぬめりにくいステンレスは、排水口にぴったりの素材。
耐久性・衛生面に優れ、何十年と使い続けられるキッチンを求めている方は、クリナップがオススメです。
TOTO
トイレ、洗面器などの衛生陶器で約54%のシェアを持つ国内トップメーカー。
主なグレードは、中~高価格帯「ミッテ」、高級価格帯「ザ・クラッソ」となります。
特徴・特色
クリスタルカウンター
すりガラスのような美しい質感のクリスタルカウンターは、TOTO独自のキッチン天板。
透明度の高いエポキシ樹脂でできており、汚れを放置してもシミになりにくく、熱にも強い素材です。
※ 中~高価格帯のミッテでは選択不可
水ほうき水栓
大皿も素早くサっと洗え、水はねしにくい形状の幅広シャワーが特徴。
小さな気泡を取り込むことで水の一粒一粒を大粒化し、節水効果を高める「エアインシャワー」を搭載しています。
高級価格帯のクラッソでは、タッチレス機能が付いた水ほうき水栓を選択できます。
きれい除菌水生成器
センサーに手をかざすと、除菌効果のある水がミスト状で噴霧されます。
網かごの生ごみを捨てた後や、まな板・包丁の汚れを落とした後に「きれい除菌水」を吹きかけると、除菌ができてキレイが長持ち。
※ 中~高価格帯のミッテでは選択不可
まとめ
- 衛生陶器メーカーならではの清掃性・清潔さが特徴
トイレや洗面など衛生陶器のシェアが国内No.1ということもあり、「キレイを保つ機能」が充実しています。
水に含まれる天然のミネラル成分から電気分解による次亜塩素酸(殺菌消毒成分)を作る「きれい除菌水」はトイレにも使われており、TOTOの技術の結晶です。
一方、中~高価格帯「ミッテ」と高級価格帯「クラッソ」において、標準仕様・オプションでかなり差別化を図っており、ミッテは必要最低限の機能をまとめたキッチンという印象。
(クリスタルカウンター、タッチレス水ほうき水栓、きれい除菌水生成器 すべてクラッソでしか選択できません)
TOTOの最新技術を体感したい方は、クラッソを選択することをオススメいたします。
LIXIL
日本のシステムキッチン市場においてトップシェアのメーカー。
内装建材を豊富に扱っていることもあり、キッチン空間全体をデザインしやすいのも特徴です。
主なグレードは、普及価格帯「シエラS」、中~高価格帯「ノクト」、高級価格帯「リシェル」となります。
特徴・特色
豊富なカラーと高いデザイン性
LIXILのキッチンは安価なモデルであっても、豊富な扉カラーとデザイン性の高さが魅力です。
ノクトで選択できる対面キッチンでは、標準的なダイニングテーブルの高さに合わせたカウンターテーブルを付けることも可能。
木目の質感を生かしたテーブルは、空間によく馴染みます。
タッチレス水栓ナビッシュ
センサーに手をかざすだけで吐水・止水ができるタッチレス水栓は、新型コロナウイルスの影響もあり多くの家庭に普及。
他社へOEM供給をしており、タッチレス水栓といえばこの形(グースネック形状)というくらい一般的になりました。
浄水器ビルトイン型や電源不要な電池式なども販売しています。
セラミックトップ
LIXILのセラミック技術が活かされたキッチン天板。
セラミックは見た目が美しいだけではなく、耐熱性・耐久性が高く、調理中のフライパン・鍋をそのまま置くことが可能。傷や汚れにも強い素材です。
※ 高級価格帯のリシェルのみ対象、シエラ・ノクトは選択不可
まとめ
- 内装建材を幅広く取り扱っているため、キッチン空間全体のコーディネートが可能
LIXILの強みは、窓や玄関ドア、エクステリアなどの内装建材を取り扱っている総合メーカーであるという点です。
キッチン単体だけではなく、空間全体のコーディネートができるため、デザイン性に強いこだわりがある方にオススメです。
また、中~高価格帯「ノクト」は、コンセプトが“魅せる暮らし”とだけあって、シンプルで洗練されたデザインが特徴的。
キッチンテーブルプランでは、本来であれば造作するカウンターテーブルを、メーカー側でより安価に製造。
無駄を削ぎ落としたミニマルなフォルムとカスタマイズ性の高さは、キッチントレンドを掴んだデザインといえます。
パナソニック
誰しも一度はお世話になったことがある総合家電メーカー。
食器洗い乾燥機やIHクッキングヒーターなど設備類に強く、家電メーカーならではのアイデアが光ります。
主なグレードは、普及価格帯「Vスタイル」、中~高価格帯「ラクシーナ」、高級価格帯「Lクラス」となります。
特徴・特色
ワイドコンロ
パナソニックのキッチンといえば「ワイドコンロ」!横一列に3連のコンロが並ぶ、ありそうでなかった形。
一般的な俵型と比較して奥行きが必要ないため、天板手前に約16cmの作業スペースがあるのも大きな特徴です。
この作業スペースを使って、食材を切るなどの下ごしらえや盛り付けができます。
ほっとくリーンフード
「ラクウォッシュプレート」と整流板でほとんどの油を捕集し、さらに運転終了後、「油トルネード機能」によりファンが自動で高速回転して付着した油を吹き飛ばします。
この2つの効果で10年間使用してもファンの汚れは従来品の1年分しかたまらない設計です。
クッキングコンセント
手元にコンセントがあるので、調理家電がカウンター上でスムーズに使えます。
水ダレからコンセントを守る防水形状と、差込み口は未使用時に閉じておけるので、ホコリの侵入を防ぎます。
まとめ
- 家電メーカーならではの発想・技術力で、唯一無二のキッチンに
家電を長年手掛けているメーカーらしく、設備類の独自性が特徴的。
特にワイドコンロはパナソニックしか取り扱っていない(他社にOEM提供をしていない)商品なので、「ワイドコンロを使いたくてパナソニックのキッチンを選んだ」という方もいます。
その他にも、横並びで最大4つの鍋が使えるマルチワイドIH、キッチン側とダイニング側どちらからも操作でき、調理だけでなくダイニングテーブルとしても使える対面操作マルチワイドIHなどもあります。
しかし、価格は他メーカーより少し高めです。
「パナソニック独自の設備」と「デザイン性の高いキッチン」、どちらも採用するとなるとかなり金額が跳ねるので、オプションの取捨選択が必要です。
近年、物価高騰の影響が相まって、「節約と贅沢のメリハリをつける」「コスパ(費用対効果)を重視する」という、“メリハリ消費”の傾向が高まっています。
そういった消費行動の変化に伴い、パナソニックは新しい普及価格帯のキッチンを発売。
機能性を必要不可欠なもののみに絞り、従来高級価格帯でしか実現できなかったデザイン性を確保した、「S-CLASS」という商品です。
カウンターと扉色・柄・テクスチャーを統一したシンプルで洗練されたデザインと、幅450mmフロントオープン食洗機、価格を抑えたブラックプレートタイプのトリプルワイドガスなど、機能面も充実。
価格・機能・デザイン性のバランスがとれたキッチンです。
気になる方はショールームへ足を運び、実際に体験をしてみるのがオススメです。
タカラスタンダード
世界ではじめて「ホーローキッチン」を開発したメーカーで、独自開発の高品位ホーローが魅力。
主なグレードは、普及価格帯「リフィット」、中~高価格帯「エーデル」「トレーシア」、高級価格帯「レミュー」となります。
特徴・特色
まるごとホーローキッチン
ホーローとは、金属とガラス質を結合させた素材のことで、鉄の強さとガラスの美しさを併せ持っています。
タカラのキッチンは、キャビネット本体、キャビネットの内側・側面、引出し底面・裏面、すべてホーロー。
油汚れや湿気に強く、においも付かないから、水まわりに最適な素材です。
キープリーンフード
独自の「フィルタリング構造」により、ファンに至るまでの経路で約90%の油汚れを捕集します。
ファンを含む、内部(シロッコファン、リングカップグリスフェンス)のお手入れは10年間不要。
さらに、フードパネル、グリスフィルター、整流版は、お掃除が簡単なホーロー製です。
マグネット収納
ホーローはマグネットが付くので、キッチンの壁一面にマグネット収納ができます。
現在ではどのメーカーもマグネット収納が使えるマグネットパネルをオプションとして選択できますが、壁面だけではなくキッチン本体にも取付可能なのはタカラスタンダードだけ。
まとめ
- 独自開発の高品位ホーロー素材で長く使えるキッチンに
クリナップの項目でも一度解説しましたが、ほとんどのメーカーのキッチンは木製キャビネットです。
木製キャビネットは安価である一方、湿気や水漏れなどでたわんだり、扉や引出しの動きで傷んでめくれてきたりと、経年劣化しやすいのが難点。
その点、ホーローは汚れや湿気に強く、傷や衝撃にも耐えるため、経年劣化に強い素材です。
丈夫で長く使えるキッチンをお求めの方は、タカラスタンダードのキッチンがオススメです。
(普及価格帯のリフィットは木製のシステムキッチンのため、ホーロー素材を選択したい方は中~高価格帯「エーデル」以降を選びましょう)
キッチンには定価と仕入値というものがあり、定価はお客様への売値、仕入値は代理店・卸売業者からの買値を指します。
仕入値は工務店・ハウスメーカーによって違い、多く仕入れられる大手ハウスメーカーなどはかなり低く設定されています。
仮に定価が100万円の製品を、卸売業者から40%の掛け率で仕入れたとします。
40万円で仕入れたキッチンを、お客様に50万円で販売すると、差し引きされた金額が工務店・ハウスメーカーの利益となります。
しかし、タカラでは「適正価格」での販売(値引き販売を前提とした価格ではない)ため、ほぼ定価に近い掛け率で仕入れることになります。
そうなると、工務店・ハウスメーカーの利益が少なくなってしまう事態に。
中には「旨味が少ないから、タカラの製品を採用しない」という業者もいます。
「じゃあ業者は基本ぼったくってるってこと?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはないです。
他社メーカーは掛け率が低いが故に値引きの幅が生まれ、少しでも安くお客様に提供することができます。
お客様にとっても価格交渉の余地があり、「A工務店では同じキッチンが〇〇円だった。もっと安くできないの?」と直談判することも可能です。
タカラの場合、最初に提出した見積書の金額ほぼそのままだと思っていただいて構いません。
相見積もりをとったとしても、そこまで金額は大きく変わらないでしょう。
「変動が少なく明瞭な価格」が良いのか、「少しでも安い価格」にこだわりたいのかは各々です。
キッチンリフォームは大きな買い物ですので、何を優先・重視するのかを考え、最良の選択をしていただければと思います。
トクラス
人造大理石を最も早く採用したメーカーで、人造大理石の加工技術・品質の高さで知られています。
主なグレードは、中~高価格帯「ビービー」、高級価格帯「コラージア」となります。
特徴・特色
質の高い人造大理石ワークトップ
トクラスの人造大理石は、汚れ、衝撃、熱に強く、使いやすいだけでなく見た目も美しさも特徴的です。
新質感人造大理石「テノール」は、特殊な樹脂を塗布し、加熱して硬化させた新素材。
ざらつきのある独特な触感、味わい深い色彩、高い耐久性を実現しています。
ハイバックカウンター
カウンター奥のバックガードを高く立ち上げた人造大理石ハイバックカウンターは、コーキングのつなぎ目や段差をなくすことで汚れがたまりにくくなっています。
シンク奥・まわりの水はねや、洗剤ダレ、汚れもサッとひと拭き。
まとめ
- トクラス独自の質の高い人造大理石ワークトップが特徴
本社がある浜松市を含む静岡県西部では高い人気を誇るシステムキッチンです。
人造大理石を最初に採用したメーカーとだけあって、加工技術と品質の高さが特徴。
トクラスの人造大理石は他社メーカーと比べて厚く、5~6mm程度が一般的なところ、倍の12mmを採用しています。
さらに、カウンターからシンクまで一切継ぎ目のない一体成形のワークトップは、トクラスの高い加工技術が伺えます。
トクラス独自の質の高い人造大理石に魅力を感じる方は、トクラスのキッチンがオススメです。
ステンレス天板とシンクは取り扱っていないので注意。
総括
今回ご紹介した各メーカーを分類してみました。
とにかく頑丈なキッチン、10年20年と長く使いたい と思っているのであれば、
クリナップ・タカラスタンダード・トクラス がオススメです。
特に、クリナップとタカラスタンダードはキャビネット本体にもこだわっています。
クリナップはステンレス、タカラスタンダードはホーロー、
どちらの素材も日本の環境に適した高い耐久性を持つ素材です。
トクラスはカウンターからシンクまで一体成形の人造大理石天板が魅力。
継ぎ目がないため、コーキングの隙間に汚れが溜まらず、お掃除の手間が省けます。
次亜塩素酸(殺菌消毒成分)が含まれた水がキッチンの水栓からすぐに出てる
便利な「きれい除菌水栓」は、キッチンを常に清潔に保ちたい方に人気です。
また、「ワイドコンロ」は横一列に3連のコンロが並び、一般的な俵型と違って調理がしやすい!
天板手前に約16cmの作業スペースがあり、食材を切るなどの下ごしらえや盛り付けができます。
どちらのメーカーにも他メーカーにない魅力的な機器があり、
どうしても「きれい除菌水」「ワイドコンロ」を採用したい!という方は、TOTO・パナソニックがオススメです。
LIXILの強みは、窓や玄関ドア、エクステリアなどの内装建材を取り扱っている総合メーカーであるということ。
キッチン単体だけではなく、空間全体のコーディネートができるため、
デザイン性に強いこだわりがある方にオススメです。
また、ハウスメーカーや工務店によっては掛け率(仕入れ値)がかなり安く、
水まわりをすべてLIXILで揃えている方も多い印象。
安さ・価格重視の方も、LIXILの選択がオススメです。
「このメーカーでしか選べない」という性能・製品があり、強みはそれぞれ。
カタログを読み返したり、ショールームに何度も通っているうちに
何だかよく分からなくなってきてしまいますよね。
「掃除のしやすさ」「デザイン性」など優先・重視するポイントを明確にして、
ご自宅に合うキッチンを見つけてみてください。
今回の記事がメーカー選びの参考になりましたら幸いです。