食洗機は国内メーカーと海外メーカーどちらがいいのか問題
それを手助けしてくれるのが、食器洗い乾燥機(以下、食洗機)です。
キッチンにすっぽり納まるビルトイン型から、
後付け設置が簡単な据置き型までタイプもさまざま。
さらに販売しているメーカーもたくさんあり、
メーカーによって価格や機能が違うので、
「結局どれにすればいいんだ~!?」と沼ってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は弊社で取り扱っているビルトイン型に焦点を置き、
必ずぶち当たる「国内メーカー・海外メーカーどちらの食洗機を選べばいいのか?」問題について
語っていきます。
食洗機選びの参考になりましたら幸いです。
目次
1. 国内メーカーまとめ
2. 海外メーカーまとめ
3. 国内メーカーのメリット・デメリット
4. 海外メーカーのメリット・デメリット
おまけ:なぜ国内メーカー産フロントオープン食洗機がなかったのか
5. 総括
※ 御託はいいから結果だけ教えろ~!という方は総括へ飛んでください
国内メーカーまとめ
日本の食洗機3大メーカーは、パナソニック・リンナイ・三菱電機の3社です。
ビルトイン食洗機では、パナソニックが約6割、リンナイが約3割のシェアを占めています。
特徴や機能面での違いは以下にまとめました。
メーカー名 | 特徴 |
パナソニック | ・ビルトイン食洗機と卓上型食洗機どちらもトップシェア ・業界初の液体洗剤自動投入機能を搭載 ・ナノイーXで庫内除菌と消臭ができる ・2023年12月にフロントオープンタイプの食洗機を発売 |
リンナイ | ・ビルトイン食洗機の国内シェア約3割 ・プラズマクラスターで浮遊カビ菌やニオイを抑制 ・国内で先駆けてフロントオープンタイプの食洗機を発売 |
三菱電機 | ・生活家電などを取扱う総合電機メーカー ・34.5dBという低騒音設計(一般的な食洗機は40~45dB) ・販売しているのはスライドオープンタイプのみ |
国内メーカーは長らくスライドオープンタイプ(いわゆる引き出し型)が主流でした。
しかし、がばっと大きく開けられて大量に食器を入れることができる
海外製のフロントオープンタイプが人気となったことで、
リンナイが国内初のフロントオープンタイプの食洗機を発売しました。
後に続くように、パナソニックもフロントオープンタイプの販売を開始しています。
(パナソニックのフロントオープン食洗機は単体での販売は不可)
海外メーカーまとめ
国内で主流の海外メーカーは、ミーレ・ボッシュの2社。
どちらもドイツのメーカーです。
特徴や機能面での違いは以下にまとめました。
メーカー名 | 特徴 |
ミーレ | ・国内シェア約6割 ・日本の一般的な高さである85㎝のシステムキッチンにも組み込める ・全国にアフターサービス拠点(公認のアフターサービス店)がある ・価格は高め |
ボッシュ | ・世界食洗機シェア率1位の最大手メーカー ・ミーレ同様高さ85㎝のキッチンにも組み込める ・沸石ゼオライトによる独自の乾燥方式 ・比較的安価 |
海外ではフロントオープンタイプの食洗機が主流で、
スライドオープンタイプより食器の出し入れがしやすいのが魅力です。
ネックなのが価格面。
国内メーカーの食洗機であれば、
一番安価なモデル(スライドオープンタイプの場合)だと本体価格が10~15万円程度。
一方、ミーレ・ボッシュは安価なモデルを採用しても30万円~ です。
国内メーカーのメリット・デメリット
国内メーカーのメリットは、
「価格が安い」「故障した際のアフターサービスが充実している」「温風乾燥機能が付いている」の3点です。
食洗機を含む住設機器類はすべて消耗品であり、耐用年数は10年ほど。
修理部品の供給も大体10年で終了してしまうので、
設置から10年以上経過した場合、本体ごと交換する必要があります。
スライドオープンタイプであれば、一番安価なモデルを選択すると、
本体価格が10~15万円程度。
初期費用を抑えられるだけでなく、交換の際も大きな出費にならずに済みます。
また、故障した際のアフターサービスも国内メーカーの方が優れていると感じます。
カスタマーセンターへ連絡をすれば、
2~3日以内(遅くとも5日以内)には訪問してもらえます。
海外メーカーの場合、訪問まで最大2週間かかる場合もあり、
部品交換のない修理であっても2万円ほどかかります。
(国内メーカーだと、部品交換がないのであれば半額程度かな… ということころ)
「とにかく早く修理してほしい」「丁寧なアフターフォローもほしい」という方は、
国内メーカーを選択するのがオススメです。
最後に、一番推したいのが「温風乾燥機能が付いている」こと!
海外メーカーの食洗機を選んだ方にありがちなのが、
使い始めてから「乾燥機能が付いていないなんて知らなかった…」と気付くことです。
厳密に言うと、乾燥機能が付いていないわけではなく、
「余熱乾燥方式」といって、
洗浄後の食器の熱を利用して水滴を蒸発させる方法を採用しています。
ドイツを含めたヨーロッパは乾燥地域が多く、湿気やカビに対してあまり気を使う必要がありません。
そのため、余熱による乾燥でも食器がカラッと乾くわけです。
一方、日本は海に囲まれていて雨の日も多く、1年を通して比較的ジメジメした気候。
その影響か、余熱乾燥が終わっても食器が結構濡れている… なんてことも多いです。
(メーカー公式通販サイトで販売されている乾燥仕上げ剤を使うと改善する、と書いている方もいらっしゃいました)
いざ「食器を棚にしまおう」「洗った食器を使おう」というときに、
濡れている食器を拭く作業をはさむのは正直面倒くさいですよね。
毎回食器を拭くのがストレスに感じる方は、国内メーカーを採用しましょう。
次に、国内メーカーのデメリットですが、
「予洗いが必要」「容量が少ない(スライドオープンタイプの場合)」の2点です。
海外メーカーの食洗機は高い洗浄力を維持するため、200Vの電源を必要としています。
一方、国内メーカーの食洗機は100V。馬力がないのは否めない。
なので、洗浄力をきちんと発揮させたいのであれば、
ひどい油汚れや魚の骨などの残菜は取り除く必要があります。
「あれ?結局手洗いの手間と変わらなくない?」……そう思いますよね。
油や残菜は故障の原因にもなりますので、そういうリスクを考えての配慮なのも分かりますが、
食器洗いから解放されたい側にとってみれば、
予洗い必須は残念ポイントと言わざるを得ないです。
長々と語ってきましたが、これで最後。
最後のデメリットは「容量が少ない(スライドオープンタイプの場合)」です。
スライドオープンタイプの場合、
深型であれば、フライパン(直径18~32cmの一般的な形状)1枚であれば入りますが、
パスタポットのような深鍋も入れてしまうと、食器類は諦めた方がいいかな…という容量。
都度洗い前提の設計になっていると感じます。
これがフロントオープンタイプとなると、
家族の人数によっては1日(3食分)の食器と調理器具がまるっと入ります。
(出典:https://sumai.panasonic.jp/dishwasher/products/front-open/)
そもそも海外では、「1日の食器をまとめてその日の夜に洗う」というのが一般的。
共働き世帯に寄り添った設計です。
都度洗いは負担だと感じる方が、
海外メーカーのフロントオープン食洗機を選択するのは然もありなん
といったところ。
(パナソニックはフロントオープン食洗機の単体販売ができないため、
食洗機交換のみの場合はリンナイ一択となってしまい、
国内メーカーの選択肢が少ないのも残念ポイントですね)
ということで、上記を簡潔にまとめるとこちらになります。
海外メーカーのメリット・デメリット
海外メーカーのメリットは、「予洗い不要の高い洗浄力」「容量が多い」「耐用年数が長め」の3点です。
まず、メーカーとしても大きな売りとして掲げている「予洗い不要の高い洗浄力」。
前項でも少しお話しましたが、
海外メーカーの食洗機は200Vの電力で高い洗浄力を実現しています。
予洗いも不要で、食後の汚れた食器や調理器具をセットして洗浄ボタンを押すだけ。
便利すぎる。
この1点だけでも、海外メーカーの食洗機が欲しくなりますよね。
加えて、海外メーカーの食洗機はフロントオープンタイプが主流なので、「容量が多い」。
60cmタイプであれば、約12人分(72点)の食器が入るため、
朝・昼・晩 3食分の食器を1回の運転で洗うことができます。
共働き世帯に寄り添った設計です。
そして、上記2点のメリットと併せてありがたいのが、「耐用年数が長め」という点。
ですが… 正直、こちらに関しては少し懐疑的です。
20年の使用を想定して製造されており、自社独自の製品テストを実施しているとしても、
機械というのは壊れるときは壊れます。
製造国のドイツと日本では気温も湿度も違うため、
条件によっては数年で壊れてしまうことも全然ありえます。
「頑丈な作りになってはいるが、機械だから故障はつきもの」
くらいに思っていた方がいいと感じます。
一方で、国内メーカーにはない海外メーカーの美点があります。
それは、「定期的にメンテナンス・修理をしながら長く使うのが前提」というところ。
国内メーカーは製造中止後の部品供給は10年程度なので、
設置から10年以上経過した食洗機に関しては、
もう新しいものに買い替えちゃった方がいいですね、となりがち。
しかし、海外メーカーの場合は15~20年とかなり長いです。
どうしてそこまで長く供給しているのかというと、
「長く使い続けることで買い替えによる環境負荷を減らす」という考え方だからです。
そういったサステナブルな企業理念に共感し、
購入に至った方も多いのではないかと思います。
次いで、デメリット。
「価格が高い」「温風乾燥機能がない」「機種によっては日本のキッチンの規格に合わない」の3点です。
まず一番ネックになるのが「価格」。
国内メーカーの食洗機であれば、
一番安価なモデル(スライドオープンタイプの場合)だと本体価格が10~15万円程度ですが、
ミーレ・ボッシュは安価なモデルを採用しても30万円~。
イニシャルコスト(初期費用)が国内メーカーの倍以上です。
そして、前項で激推しした温風機能乾燥ですが、海外メーカーの食洗機には付いていません。
「余熱乾燥方式」といって、
洗浄後の食器の熱を利用して水滴を蒸発させる方法を採用しています。
ドイツを含めたヨーロッパは乾燥地域が多く、
湿気やカビに対してあまり気を使う必要がないからこそのエコな機能です。
しかし、ここは日本。
海に囲まれ、梅雨もあり、1年中ジメジメとした湿気の多い気候です。
そのため、余熱乾燥が終わっても食器が結構濡れている… という口コミ多数。
食器棚にしまう、または洗った食器を使いたいとき、食器を拭く作業が挟まります。
毎日のことなので、それがストレスに感じる方も多いはず。
そういう方は、温風乾燥機能が標準搭載されている国内メーカーの食洗機がオススメです。
最後のデメリットは、「機種によっては日本のキッチンの規格に合わない」ということ。
海外のキッチンの高さは一般的に90cmですが、日本は85cmです。
ミーレ・ボッシュに関しては、日本の一般的な高さである85㎝のシステムキッチンにも組み込めますが、
90㎝のキッチンを想定して作られている他メーカー(ASKO・AEGなど)は、
高さ寸法が大きすぎるため、
後付けの場合、ほとんどの日本製キッチンに取り付けることができません。
機能やデザインを検討する前に、「まずは取付けが可能かどうか」を確認しましょう。
ということで、上記を簡潔にまとめるとこちらになります。
なぜ国内メーカー産フロントオープン食洗機がなかったのか
※ ここからは本筋から離れたこぼれ話になるので、飛ばしても問題ないです。
なぜ国内メーカー産フロントオープン食洗機がなかったのか。
「意外と需要がない」これに尽きると思います。
内閣府の調査によると、国内の食洗機普及率は上昇傾向にあるものの、
30%程度に留まっています。
詳しく内訳を見てみると、
住居形態別では、持ち家の場合は35%を超えるのに対して、賃貸住宅では5.8%と低め。
年代世代別構成では、二人以上世帯の40代では47.4%と半数に迫るほどに普及は進んでいますが、
対して単身世帯は最も高い70代以上でも19.2%に留まっています。
この統計結果は、弊社の体感と違わないな、と感じています。
60代以降の世帯は、食洗機を持っていたとしても
「乾かすために一時的に食器を置く場所」として使っている方も多い印象。
「結局手で洗った方が早い」「手入れが面倒」となってしまうようです。
さらに、未婚率の増加や、核家族化により、
単独世帯(世帯主が一人の世帯)が増加していることも影響していそうです。
ひとり暮らしで出る洗い物の量はたかが知れており、大容量の食洗機は持て余してしまいます。
子どもが巣立った夫婦二人世帯も同様です。
そうすると、大容量の食洗機が必要なのは「子育て世帯」のみ。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、
2022年の18歳未満の子どものいる世帯数は991万7000世帯で、
全世帯に占める割合は18.3%。
子育て世帯は既に社会的少数派、“マイノリティ化”が進んでいると言えます。
需要がない(または少ないもの)を商品化するのは難しく、
そういった事情からフロントオープン食洗機の開発に踏み切れなかった… のかもしれません。
他にもさまざまな要因があり、過去にインスタでも似たような投稿をしております。
ご参考までに。
この投稿をしたすぐ後に、
パナソニックからフロントオープン食洗機が販売されると発表されて腰抜かしました。
ついでにはなりますが、パナソニック関連で違う商品もご紹介しておきます。
パナソニックがニッチな需要を察知し、一人暮らし用の食洗機を販売しました。
ビルトイン型食洗機ではスライドオープン・フロントオープンの選択肢があり、
さらに据置型、一人暮らし用のミニサイズも展開。
さすが大手電機メーカーというラインナップです。
「食器の量に関わらず、食器洗いという家事を家電に任せることで生まれる価値は同じ。
だからこそ人生の早い時期に、
食洗機の効果を実感してもらうきっかけを作れないだろうか。」
そうした見解から開発をスタートしたとのこと。
「ひとり暮らしだけど、日々の食器洗いめんどくせ~!」と思っている方は
ぜひ購入をご検討ください。
(パナソニックの回し者ではありません)
タンク給水方式の食洗機なので工事不要、賃貸でも使えます。
出典および参考記事
経済産業省 ひと言解説「家事の強い味方、食器洗い機」
パナの若者向け「食洗機」出足好調 6割が「必要ない」という世代にどう挑んだか
常識を覆したパーソナル食洗機SOLOTA パナソニックが語るヒットの裏側
総括
「国内メーカー・海外メーカーどちらの食洗機を選べばいいのか?」問題、
結局は“何を重視するか”によって違います。
以下にざっくりまとめました。
- 価格(安さ)重視
- 細やかなアフターサービスを求めている
- 洗浄後の食器はカラッと乾いていてほしい
- とにかく洗い物が嫌い
- たくさん食器・調理器具を入れたい
- 予洗い不要がいい
大きな買い物なので、後悔せず選びたいですよね。
今回の記事が食洗機選びの参考になりましたら幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
食洗機新規設置・交換のご依頼はぜひ大仙へ!